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Nakamura Yuki BLOG

油画作家 中村友紀の展示、制作、趣味の話。日々思うことなど。

2014年04月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年06月

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命日

個展についてと作品解説を書いた前回の記事をSNSで紹介したところ、思いのほか好評だったので本当に驚きました。
共感してくれたり、わかりやすいと言ってもらえたり。


作品について話すことはあるけど、文章でうまく伝わるかよく分からないし、内容的に頭おかしいと思われないかな、とかちょっと不安だったんですけど。

やはり、つたなくてもいいから実感を持って発信する、ということが良いことなのだな、と思いました。





さて、

そろそろ祖母の命日だな、というタイミングで、デスマスクのスケッチが出てきたのでアップしてみます。
6年前に描いたものです。

R10107801.jpg
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スケッチブックに鉛筆、色鉛筆、ペンで描いています。


亡くなったあとに きれいにお化粧してもらった祖母は、晩年の病床の苦しみを全く感じさせないほど安らかで綺麗で、とても感動したのでスケッチブックに納めました。

写真には、この微妙な美しい感じは絶対に写らない・・・!撮ったらきっと死んだ後の独特の重い空気ばかりが写ってしまう!
と思って描くに至った気がします。






亡くなった祖母は、ゴージャスでとても気が強くてお姫様みたいなひとでした。
ピンチのときは、祖母ならなんと言い返しただろう?とついつい考えてしまいます。

ウィットに富みつつ、チクリと牽制するみたいな感じでお洒落にうまく切り返していた気がします。




存命の祖母は、100歳なのですが、こちらからもまた学ぶところが多いです。
関東大震災やら戦争やら数々の困難をくぐりぬけてきた人は強いです。

誰よりも誇り高く、でも絶対に人を貶めるようなこともしない。
なかなか真似できません。

切り返し方としては、「申し訳ございません!」と頭を下げるけど、自分はどこも汚れないし絶対負けないみたいな心の持ちようでしょうか。そして感謝の心を忘れない。
いつもいつも強くて清々しい!






私が60とか70になったら、そんな風になれるかというと、、、どうなんでしょう?
きっと私の歳には、両方の祖母はもう強かったと思うし。

とにかく2人とも動じないので、すごい。
強さには憧れますが、私には私なりの良いところがあるはずだから、とりあえずは良しとします。


でも、誇りだけは高く持っていたい、と命日に思いました。
誇りの持ちようにもいろいろあると思いますが。



あと、作品としてではなくても、単純に人物もまた描きたいな、とも思ったり。







そろそろ次の締め切りです。がんばります。
趣味の話とか、コレクション展の展示風景とか、あれやこれや書きかけの記事があるのでそれもまた近々。



5月は良い季節ですね。花の匂いと空気に溶けそう!
ではまた。








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中村友紀個展 The Inner Light/春風洞画廊/展示風景

4/30より、一点出展させていただいている山本冬彦コレクション展が始まっています。
私の作品は、階段の壁にありました。
壁の上の方が大きくガラス張りになっていて、午前中とかは緑と光と絵、という感じで、とても爽やかだそうです。


別荘みたいな素敵な一軒家のギャラリーでした。ちょっとした喫茶もあるそうです。
展示のお知らせのブログ記事は、こちら


会期中無休で5/12まで!
近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。






さて、だいぶ時間が空いてしまいましたが、3月の個展について書きたいと思います。


[展示全体について]


今回は、展示タイトル「The Inner Light」とあるように、内側、奥深いところから湧き出るような光をテーマに制作しました。
それは、誰もが持っている力のようなもので、自分の中(又は身近な場所)に見つけることができる光です。


ここ数年は、とにかくポジティブな強い光とか神様のような崇高な光を描きがちだったので、比較的良い気持ちで制作できていた気がします。


しかし、今回は内側から湧き出る潜在的な力、光に注目するということで、かなり内向的な気持ちでの制作になりました。


ただ単に、心地良い光ではなくて、なくならない暗い深いところから光を探す。そのために、自分を深く厳密に見つめていく。
それは、私にとってはとても息苦しく頭の痛くなる時間でした。


本当に思考の中だけでの話なので、何をそんな世迷い言を!!とも思いますが、今回の制作にはどうしても必要な作業だったようです。


いつもいつもこんなに身も心も削って一体何をしているんだろう?
何か少しは形になってきているのだろうか?
価値を作るとは一体どんなことだろう?


そんなことをふと考えますが、出来上がった作品は本当に我が子のように愛しいのです。(例えまだまだ不出来だったとしても!)







展示風景と作品の写真とコメントを載せていきます。
→拡大をクリックすると、少し大きい画像を見ることができます。
(画像をクリックしても大きくなりません)


春風洞画廊は1階と2階があります。
まずは1階から。
旧作と新作1点です。
旧作は前述の「The Inner Light」のコンセプトとは少し違っています。

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その光は、あたたかく満ち溢れ、全ての人を照らしている/2400mm×1200mm×280mm

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昨年VOCA展入選した作品です。



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生まれた日/227mm×227mm×190mm

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旧作です。雨露に濡れる花を描きました。
生まれた日といっても、再び生まれる新しい世界というイメージです。



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The Inner Light 2/900mm×900mm×280mm

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チョウセンアサガオ(エンゼルトランペット)と室内風景です。
夜を描くのは初めてでしたが、内側から発光するような感じが少し出せた気がします。
室内を描くのは、すごく楽しかったです。



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閃き/333mm×333mm×190mm

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旧作です。
大賀蓮のつぼみを描きました。
インスピレーションが降りてくるような研ぎ澄まされた瞬間のイメージです。



2階の展示風景です。
2階は新作のみです。
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内なる旅/1200mm×1200mm×280mm

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今回の問題作。実験作というか。
公園の遊具は、学生の課題以来の無機物でどきどきしました。

空、山、水晶だとあまりに遠い存在すぎるので、近場のシチュエーションに変えてみました。
山まで行かなくても、公園でもどこでも心を静かにすれば、自分の中に救いのような光を見ることができるのではないか、という提案をしたかったのですが、構成や見せ方や、そもそも公園がベストなのか、とかまだまだ練れてません。
1階の空と水晶の作品もあれに至るまで、たくさん描いたので、このシリーズはこれからもっと深めていきたいと思います。



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無限に広がる/600mm×600mm×280mm

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かじったすももを見ていたら、大地がどこまでも無限に広がっていくような感じに見えました。
自分の肉体も世界もひとつになってどこまでもひろがっていくのだな、とよく思います。



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風の吹き抜ける庭/227mm×227mm×190mm

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グレープフルーツを陽に透かしました。
庭というのは、例えで脳内空間のことです。
風が吹き抜けるようなとても良い爽快な状態です。
幼い頃から、そういう気持ちのときは、すーっとしたグラデーションの色が頭に浮かんでいました。
(実際、昔から頭に浮かぶのはモノクロの薄墨みたいな色ですが)



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The Inner Light/1200mm×1200mm×280mm

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DMにも使っている今回の表題作。ピンクのバラです。
上述の通り、内側から湧き出るような光です。



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内なる宇宙/227mm×227mm×190mm

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枯れ葉の上の水晶です。
道端に落ちている石ころとはちょっと違うのですが、落ちている小さな石の中にも三千世界の宇宙がある、ということが言いたかった作品です。
(またそれは、自分の中に広がるきらめく宇宙のような無限の空間にもつながっている。)

小さい頃は、地面と目線が近かったせいか、自然の中にそういう神様みたいな宇宙みたいなものを無言のうちに感じる時間が沢山あった気がします。当時はそれがなんなのか全く分かりませんでしたが、退屈で幸福な時間だったと思います。



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世界とひとつになる瞬間/400mm×400mm×280mm

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蓮の葉の上の朝露です。
前に似たようなものを描いて失敗したのですが、今回は葉っぱという良いモチーフに出会えて少し形にできたと思います。
前からイメージがあったせいか、びっくりするくらいすんなり描けました。

世界中の動物や植物や物質など全ての要素が、一瞬で集束してひとつになる瞬間です。全ての存在と時が凝縮されてひとつであるような、また、どこまでも広がっていくような。
世界とひとつになること、それは生まれる前であり、死でもあると感じます。

バラバラに分断されていることは、やはり悲しいことなので、これはとても素晴らしい瞬間だと私は思います。




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The Inner Light 3/400mm×400mm×280mm

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表題作のミニバージョン。
120cm各のものとは、少し構図が違います。



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灯る花/226mm×227mm×190mm

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桜のように見えますが、八重の梅です。
一昨年の2月頃、新宿御苑にピクニックに行って、帰りの西日にポッと灯ったような梅の花がとてもきれいでした。
その様子を見ていると胸の内側からも何か灯ってくるような感じがしました。






私の追い求める描きたい世界にはまだ程遠い!と終ったそばから思ったりもします。
でも、焦らず今言える真実をひとつひとつ言っていくことが肝要なのだとも思います。

何が出来て、何が足りないのか、それもまたよくよく考えます。


今回の制作で思ったことは、計画性よりも何よりも一番必要なのは

強いインスピレーション!

ということです。
それさえあれば、一気に走ることができます。

今後も良いインスピレーションを掴めるように努めていきたいと思います。







[yuumiさんのブログ]

オープニングパーティーに来てくれた歌手のyuumiさんがブログで個展のことを書いてくれました。
とても素敵なことを書いてくれて嬉しかったのでリンクをはらせていただきます!
http://yuumi.unistyle.in/?day=20140315

「強さ」と「しなやかさ」は自分では全く感じられませんが、
yuumiさんは本当に話声も歌声も存在自体も透きとおっているので、そう受け止められるのかもしれないな、と思いました。


記事にもありますが、yuumiさんとの出会いは書道家の本田蒼風さんの紹介でした。

蒼風さんは、ものすごくエネルギーに満ちた人で、この人とこの人絶対合う!というのを見抜く感覚が優れているらしく、フォトグラファーの戸田麻子さんも紹介してくれました。


麻子さんには、去年、プロフィール写真を素敵に撮ってもらい、個展のカタログや月刊ギャラリーの写真に使わせて頂きました。


麻子さんに写真を撮って欲しい方はoiwaiまで!
私もまた人生の節目節目には絶対撮ってもらおうと思っています。

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左からフォトグラファーの戸田麻子さん、書道家の本田蒼風さん、私、歌手のyuumiさん。





個展については、他にも様々なエピソードや思うところがありましたが、キリがないのでこのへんで。

だいぶ詰まった(?)ものを書いてしまったので、次はもう少し軽く、趣味っぽい記事が書けたらいいなと思います。


それでは、また!




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